作成日:2019.08.09  /  最終更新日:2020.03.07

【メルカリ社員が語る】副業/複業の在り方とは

現在は本業以外での活動が解禁される時代になってきています。特に2018年からは政府の後押しもあり、ベンチャー企業や大手企業が副業解禁を続々と発表しました。

企業側からすると労務管理、機密情報の漏洩、独立や転職による人材流出など、抱えるリスクは多いでしょう。一方で、そのリスク以上に社外でのアウトプットで修行をしてもらい、本業を加速させ自社にリターンを得られるという考え方で、副業を解禁する会社は増えています。

例えば筆者が働くメルカリにおいても、副業は「推奨」されています。理由は個々のスキルアップ、市場価値を高めること、情報発信による会社も含めたブランディングといった所です。実際、自分の知る限りでも、多くの社員がベンチャーでの顧問・アドバイザリー、起業や、プログラマーとしての技術を活かして本業との相乗効果が見込まれるものを中心に副業を行っています。

副業と複業の違いとは


言葉使いとして「副業」は従来の小遣い稼ぎ的なイメージ、本業以外のおまけ、「複業」は同様にエネルギーを注ぐ兼業といったニュアンスがあります。

前者の場合、新しいチャレンジと言えば聞こえは良いものの、「猫の手も借りたい」と思われている仕事に手を出すことが多くなってしまいます。下手に経験もなく、目的意識もないままで副業に手を出すことは、大げさに言えば、少子高齢化社会の「駒」となっているような気さえします。

一般的には後者の「複業」で、本業同様にプロフェッショナルとして行うのでなければ昨今のブームが謳っているメリットは享受できない可能性が高いと思われます。ある程度のレベルの収入アップやリスク分散、人脈作りを果たすには、プロフェッショナリズムを持っていないと難しいからです。名が立つ人なら報酬も高いし、引き抜きもあるし、名刺を持って人が寄ってきますよね。

良い副業・複業とは

副業をすべきなのか…複業をすべきなのか…。

MBAの学習を投げ出したダメ人間の筆者ですが、そこで習ったMECE(もれなくダブりなく)を活かして副業を分類しました(適当です)。

悪い副業:本業が嫌で、門外漢のことに手を出すも、プロフェッショナルではない
良い副業:興味が広く、門外漢のことに手を出して、喜びと新しいスキルを得る
悪い複業:本業が嫌で、サボって他の仕事に注力している
良い複業:本業をベースに、できないこと、できない場所に挑戦して自分の強みを活かす

実際に筆者も本業としてソフトウェアエンジニアやリスクコンサルティングの業務の傍らで、あまりピンとこない本業の他に本来の適正を探りたいという思いもあり、様々な「副業」に手を出しました。天職のヒントを探したり、苦手なスキルを克服しようとしたり試行錯誤したのです。

点と点が線になるという思いから、継続的に何かしらの副業は行い続けました。

ブログでのアフィリエイト、コラムライター、イベント企画・運営、日本語コーチング、就活生のメンター。(言えるのはこれくらいかな…)多少はITバックグラウンドを活かした「複業」と言えるもののありましたが、多くは本業とは関係ない「副業」でした。良い言い方をすれば新しい可能性の探求としての「良い副業」、悪い言い方をすれば本業にのめり込んでいない逃げの複業、「悪い副業」であったかもしれません。

正直、20代半ばからの数年間、収入という面でも本業への還元という面でも、副業として成功したとは言い難いです。月の副収入が10万円以上になった時期も一瞬あるものの、筆者の場合は本業と離れたことに手を出していることもあり、リズムとモチベーションを保つことは容易ではありませんでした。

結果的には副業はいままで本業に並ぶものにはなりませんでした。本業に関する専門書を読み漁ったり、仕事を作り出していって新しい壁と向き合い続けた方がビジネスパーソンとしての成長に繋がり、より高い収入・実績を掴めた可能性があります。

それでも、「副業」が本業に活きた部分はあります。色々手を出したものの、副業選びの軸は自分でコンテンツやサービス内容を考えて、作って、売るというものでした(売れなきゃお金にならない)。企画してものを作るという経験は、着想のトレーニングになったし、質はともかくスピーディーに何かを作る能力は伸びました。そもそも雇ってもらうための交渉やコンテンツのオーナーは自分自身であるため、ある程度のオーナーシップ・責任感を持つことになります(特に本名で行う場合、叩かれる覚悟もなきゃなので)。

筆者が現在人と関わり、巻き込んでいく仕事をしていることも、副業の経験が結果としては線になっているのかもしれません。

はじめは「悪い副業」だったとしても、魂を入れていれば「良い副業」や「悪い複業」となり、それがいつの間にか自分の考え方の軸や本業を変えることになる。その結果、いつの間にか自分は「良い複業」をしている。そんなストーリーもあると思います。

副業・複業を考える3つのポイント

よく記事でみる副業のメリットとして「リスクヘッジ」が挙げられていますが、それはやはり本業の専門性を横展開した場合の「複業」の場合でしょう。本業の収入源が潰れた時にそちらにスイッチできるほどの「副業」ができている人は少ないです。時間を作って独力でスキル・実績を0から1に持っていくことは容易ではありません。

(筆者のように)ふらふらと芯のないまま「副業」に手を出してしまっては、むしろそれはビジネスパーソンにとってリスクのあるものとなります。「副業」の罠・リスクを体感してきた身から、副業・複業を選ぶ際に以下のポイントをチェックすることをお勧めします。

初めから「良い複業」をする

例えばプログラマーがテック系のイベントの運営に携わり、ゼロから企画・交渉・設営まで一貫して行えば、本業への還元率も高いのではないかと思います。「複業」としてプロフェッショナルのスキルを軸に、横展開することができているので、対価も見込めることになります。専門書を読んだり資格を取ったりする従来の自己啓発の、より高度なバージョンとなるのではないでしょうか。

はじめから相乗効果を見込んで、戦略的にスキルアップするという形です。

転職した方が良いのではないか

「悪い複業」として、本業と全く関係がないことに取り組む場合、在籍している仕事を辞めてそもそもの本業を変えたほうが早いです。「悪い副業」の場合も全く同様で、30歳にもなると周囲でビジネスパーソンとしての実績に差が付き始めるので、本業に集中していた人に対して悔しい思いをすることになります。

逃げの転職は良くない、と言われることがありますが、更に良くないのが逃げの副業、複業です。筆者の場合は副業のノルマに追われ、徹夜して会社に行っては仕事にならないといったこともありました。本末転倒なうえに、本業に魂が入っていれば時間配分を考えるか、考えられないほど双方に熱中していれば、眠くならないはずです。

さっさと転職しましょう。キャリアチェンジできるタイミングは年を重ねると狭まります。

副業・複業の内容とやる意味を周囲に説明できるか

何のスキルを磨くのか、また、どういった目的意識があるのか他人に説明できるほど明確になっている状態が望ましいと思います。そして、友人や上司に説明できる、恥じない副業・副業でないと、もしかしたら「猫の手」や「駒」として、時間を浪費することになりかねないでしょう。本名で記事書いて、世間にレビューしてもらうくらいで良いのではないでしょうか。匿名で行うことには必ず妥協の気持ちが働きます。

本名でできない仕事なら、節約しながら本でも読んでいた方がマシでしょう(自省)。

WebFolioの中にも多くの副業が紹介されています。貴方も自分の軸を整理して、キャリア形成の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

ソフトウェアエンジニア、リスクコンサルティングの経験を経て現在はITメガベンチャー(メルカリ)で働いています。個人としては多様な副業を経験してきています。

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