TOKYO STARTUP GATEWAYというビジコンに参加していた。
その挑戦が終わったので、いつか自分で振り返るためにも、記録に残そうと思う。
TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)とは東京都が開催するコンテストである。東京都は起業に力を入れており、大々的にリソースを投下して本大会を運営しているのだ。それ故に「ミーハー」な感じも少しするコンテストである。
だって、サイトが以下のようなテイストなんだもの。

筆者がこういった夢を追いかける青春な感じとは無縁の、「ビジネスとは戦いだ」寄りの人なので、どうもこのノリが合わないのである。そのため、このコンテストもほんの余興程度に考えていた。
しかし、結果的にはこの大会期間で、起業に対する向き合い自体が変わった。
TSGの大会レギュレーションについて
この大会は非常に参加ハードルが低い。「東京発・400字から世界を変えるスタートアップ ビジネスコンテスト」と銘打たれているように、本当に400文字のビジネスプランのエントリーシートで予選に参加できる。
ただし、この400文字でも勿論敗退してしまうのだ。
2025年大会では4,418名が応募(400文字のエントリーシート提出)している。
二度の足切りを経た、本戦の一回戦が終わった時点で残っていたのは511名だった。
ちなみにエントリーしたプランで実際に事業開始している知り合いでも、この4,418名→511名の間の予選で敗退しているのだ。一方で、何も実現していないプランでも本戦に進出している人はいる。というかかなり多い。これはやはり「プランコンテスト」であるのだ。
エントリーが5月に始まり決勝が11月末に行われる結構長い大会なのだが、以下のように段階的に進む。各プロセスで脱落していき、決勝プレゼンまで進むのは10名。筆者は決勝プレゼンに残れなかった。
段階 | 期間 | 内容 | 参加人数 |
---|---|---|---|
エントリー(予選) | 5月に募集開始 | ここが400文字のアイデア登録 | 4,418名 |
本戦一回戦 | 8月に提出締め切り | 合計4,000文字くらい文章を書く(!?) | 不明 |
本戦二回戦 | 9月に提出締め切り | 合計10,000文字くらい文章を書く(!?!?) | 511名 |
決勝進出者決定プレゼン | 10月に実施 | 都内会場でピッチ | 30名 |
決勝戦 | 11月に実施 | 都内会場かつYouTubeライブ中継でピッチ | 10名 |
大会を通してわかってきたこと
やはり「プランコンテスト」、とは言ってもである。東京都が税金を投入している公共事業なのである。
実際に起業して、それも無謀な起業で倒産されそうなものではなく、きちんと、投入している税金以上のリターンをもたらせる事業を提案している人が生き残るのだ。
「~以上のリターン」とは描いている夢の大きさであり、「きちんと」とは、その夢を実現できそうな理由を説明できることであると思った。
この大会は、30名による決勝進出者決定戦までプレゼンが一切行われないのだ。
一方で、文章をかなり書く。
つまりこれは、「カッコいいスライドとピッチで、何かよくわからないけど凄そうだ」という勝ちはないのだ。
そして実際のビジネスもそうである。
投資家の興味を惹くのは起業家のピッチかもしれないが、ピッチはビジネスではないのである。
だからこそ、きちんとしたビジネスを構築できているかどうか、文章を書かせることで問うているんだなと思った。
なぜ自分は勝てなかったのか?一方で、勝つことに意味はあったのか
前述の通り筆者は決勝に残れず敗退したのだが、本大会で勝ち進んでいる人と何が違ったのか。
それは、「ずっと続けていたか」であると思う。
大会自体が、東京都が毎年開催しており、誰でも400文字で参加できるという低ハードルなものなのだが、400文字でエントリーするまでに5年、10年とずっとひとつのことをやっていた人が結構いるのだ。実際、プランが洗練されている人はこれくらいやっている。
「アイデア」というとキャッチーなのだが、アイデアが生まれるに至る生き様含めての、ビジネスプランである。
その生き様が、夢を実現できそうな理由の説明を生み出す。
筆者は若い人が多くそれ故に若くして起業する人も多いIT/Web業界の者なのだが、受託のフリーランスと起業家の決定的な違いがこれなんだなあと感じさせられた。
このコンテストに勝てなかったのは悔しい。
一方で、勝ちに拘るべき水準に、筆者はまだ及ばない。
大会通じ、自分はまだ、起業家の生き様になっていなかったなと思った。
まだこの挑戦を続けたい
大会でエントリーしたプランは、敗退に伴いボツ案にするのではなく、もう少し検証したいと思った。
むしろ大会の進行に伴い、当プランを、ずっとやるひとつのことにしたいなとも思えるようになったのだ。
長くコツコツとした検証になるかもしれないが、丁寧に育てて、「この事業をやっている起業家」としての自分を磨きたいものだと、とある起業家と名乗っている筆者は思った。