作成日:2026.10.06  /  最終更新日:2026.10.06

駅メロも、町長との1時間も“買える”。地域の特別な権利マーケット「TOKKEN(トッケン)」

TOKKEN(トッケン)のお勧めポイント

RECOMEND POINT
  • 自作の駅メロ放送、重要文化財の舞台装置体験、町長への直接プレゼンなど、ほかでは手に入らない「権利」がそろう
  • ふるさと納税ではなく通常の購入のため、寄附上限に左右されず、法人も購入できる
  • 権利はNFTで付与され、首長プレゼン権や新米お届け便など一部は譲渡・販売にも対応する

TOKKEN(トッケン)とは?

「TOKKEN(トッケン)」は、自治体や地域事業者と共同で企画した「地域の特別な権利」を購入できるマーケット。札幌のスタートアップ・株式会社あるやうむが2025年11月に開始した。現在は富山県舟橋村、香川県琴平町、北海道むかわ町、福島県南会津町の4自治体の権利が並ぶ。

地域には、お金を払っても普通は手に入らない価値が眠っている。駅に着く電車の車内メロディ、閉館後の芝居小屋の舞台、町長と向き合う1時間。いずれも、これまで値札が付くことのなかったものだ。TOKKENはこうした資源を「体験する権利」「保有する権利」として切り出し、誰でも買える形に整えた。サービス名も「特権」に由来している。

象徴的なのが、富山地方鉄道の「車内メロディクリエイト体験」である。購入者が作った20秒以内の曲が、越中舟橋駅に到着する電車の車内で4カ月間流れる。第1号の購入者は都内の鉄道ファンだった。その報道を知ったGLAYのTAKURO氏の所属事務所が、第2号を購入した。2026年9月から12月まで、同氏の楽曲が実際の車内で流れている。

購入した権利はNFT(ブロックチェーン上で所有や履歴を記録するデジタルデータ)として付与される。といっても複雑な操作は求められない。権利はTOKKEN上のマイページで保有・管理され、予約や日程調整は専用チャットで完結する仕組みだ。

ふるさと納税との違い

自治体の商品を買うという点で似ているが、仕組みはまったく異なる。

比較項目TOKKENふるさと納税
取引の性質通常の売買自治体への寄附
金額の上限寄附上限の影響を受けない控除上限を超えると自己負担が増える
税の控除なしあり
法人の購入可能個人向けの制度(企業版は返礼品なし)

利用規約でも、寄附ではなく寄附金控除の対象外であることが明記されている。控除のメリットはない代わりに、上限を気にせず高額な権利を選べるのが特徴だ。

ターゲットユーザ層

・地域でのPR・話題づくりを狙う企業
・自治体との接点や実証実験の場を探すスタートアップ・新規事業・研究開発部門
・記念日や贈り物に「一生モノ」の体験を探している方

TOKKEN(トッケン)の特徴・メリット

「お金では買えなかったもの」に値札が付いている

並ぶ権利は大きく3つに分けられる。1つ目は体験型。舞台は国の重要文化財で、現存する日本最古の芝居小屋「旧金毘羅大芝居(金丸座)」。閉館後に貸し切り、役者が舞台下からせり上がる「せり」の仕掛けを体験できる。ことでんの車内に願いを書いた絵馬を約半年間掲げ、掲出後に金刀比羅宮へ納める企画もある。

2つ目は長期保有型だ。「日本一小さい村で一生銭湯に入れる権利」は限定10口で販売され、販売開始から8日後に完売が発表された。南会津町の「一生イナゴソフトが食べられる権利」も売り切れている。

3つ目が、後述する法人向けの権利である。どの商品も自治体や地元事業者が出品元となっている。地域の公式な協力のもとで提供される点が、一般的な体験ギフトとの大きな違いだ。

法人が「行政との最短ルート」を買える

法人にとって最も実利があるのが、首長に1時間直接プレゼンできる権利だろう。むかわ町・琴平町の町長、舟橋村の村長に対し、関係課の同席のもとで提案できる。価格は各10万円で、現地またはオンラインを選べる。有効期限は3年間(琴平町は令和10年3月31日まで)と長く、事業のリリース時期に合わせて使える。

「誰に話せばよいかわからない」という自治体営業の最初の壁を、正規の窓口で越えられるのが価値である。一方で、契約や補助金審査での優遇は一切含まれないと明記されている。あくまで公平な提案機会として設計されており、だからこそ自治体側も安心して受け入れられる。

さらに舟橋村では「実証実験フィールド利用権」(50万円、事前相談制)も扱う。ドローン配送やMaaS(移動サービスの統合)などでの活用を想定している。2026年7月には、村内4施設のネーミングライツ(施設の愛称を付ける権利)の募集もTOKKEN上で行われた。対象は図書館や公園などである。PR、研究開発、自治体連携のいずれの目的にも入り口が用意されている。


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寄附枠に縛られず、使わなければ譲れる

ふるさと納税ではないため、寄附上限に関係なく購入できる。法人名義での購入も可能で、用途によっては広告宣伝費などとして処理する余地もある。勘定科目は事前に顧問税理士へ確認しておきたい。

権利がNFTで管理されるため、所有者や利用履歴が記録として残る。この仕組みを生かし、一部の商品は譲渡・販売に対応している。首長プレゼン権はNFTの譲渡・販売が認められており、使う予定がなくなれば他社へ譲れる。新米お届け便も、毎年7月末時点の保有者に新米が届く設計だ。

なお、駅メロや銭湯、温泉パス、吊り革絵馬など、本人の利用を前提とした商品は譲渡できない。購入前に各商品ページの「譲渡」の記載を確認したい。

TOKKEN(トッケン)の費用・料金体系

TOKKENの料金体系

TOKKENは権利ごとの買い切り型で、月額課金はない。ふるさと納税ではない通常の購入のため、寄附上限に左右されず法人も購入できる(寄附金控除の対象外)。

法人・ビジネス向けの権利

権利名自治体概要価格(税込)
町長・村長に1時間プレゼンできる権利
譲渡・販売可
むかわ町/琴平町/舟橋村首長に1時間直接提案(関係課同席)。現地またはオンライン。有効期限は購入から3年間(琴平町は2028年3月31日まで)。各10点限定各¥100,000
舟橋村 実証実験フィールド利用権
事前相談制
舟橋村村内をフィールドに実証実験を行う機会。ドローン配送、MaaS、子育て支援などを想定。3年間有効¥500,000
公共施設ネーミングライツ
2026年7月募集・審査制
舟橋村図書館・公園など4施設に愛称を付ける権利。単体は最低100万〜300万円/5年間¥6,000,000〜
4施設一括・税別/5年

体験・記念の権利

権利名自治体概要価格(税込)
旧金毘羅大芝居の「せり」の仕掛け体験
国の重要文化財
琴平町閉館後の芝居小屋を貸し切り、舞台装置「せり」を体験。2028年12月27日までに3回、1回最大12名¥500,000
越中舟橋駅の車内メロディクリエイト体験
譲渡不可
舟橋村自作の20秒以内のメロディを、駅に到着する電車の車内で4カ月間放送。限定5点¥250,000
DONZO TAP STAY in GOKAN KOTOHIRA
TOKKEN限定プラン
琴平町檜サウナ付き一棟貸し宿。客室内のタップでクラフトビールを楽しめる。定員4名¥100,000
ことでん車内吊り革絵馬
2026年10月31日まで応募
琴平町願いを書いた絵馬を車内に約6カ月掲出し、終了後は金刀比羅宮へ納める。限定60枠¥12,000

長期お届け・パス

権利名自治体概要価格(税込)
【10年間】新米「ばんどり米」お届け便
譲渡可
舟橋村毎年の新米20kgを10年間お届け(送料込み)。1kgあたり約1,100円の計算¥220,000
【3年間】新米お届け便
ばんどり米/コシヒカリ
舟橋村毎年の新米20kgを3年間お届け(送料込み)。生産者を2軒から選べる¥70,000
はじめのチーズ ホール5kgむかわ町受注生産・約6カ月熟成のホールチーズ。牧場見学の購入特典付き¥49,500
こんぴら温泉「年間整いパス」
香川県外在住者向け
琴平町内風呂・屋上露天風呂・サウナを1年間利用可能(1日1回)¥16,500
日本一小さい村で一生銭湯に入れる権利舟橋村村営「さつきの湯」を月1回・無期限で利用。限定10口¥5,000
完売

※ 価格はすべて2026年10月調査時点の公式サイト・プレスリリース掲載価格(ネーミングライツのみ税別の最低価格)。在庫や募集状況は変動するため、最新情報は公式サイトにて確認されたい。

TOKKEN(トッケン)の利用の流れ

  • Step 01
    アカウントを作成

    公式サイトの「アカウント作成」から会員登録を行う。

  • Step 02
    権利を選ぶ

    ランキングや自治体一覧、カテゴリから権利を探す。実証実験フィールド利用権など一部の商品は、購入前に事前相談が必要となる。

  • Step 03
    購入して権利(NFT)を受け取る

    決済が完了すると、権利がNFTとして付与され、マイページで保有・管理される。付与後の返品・キャンセルはできないため、商品ページの条件を確認してから購入する。

  • Step 04
    チャットで予約・日程調整

    TOKKENのチャットツールで、体験日や面談日の調整、データやメッセージの提出などを行う。

  • Step 05
    当日に権利を使う

    現地ではマイページの電子チケットを提示して利用する。譲渡に対応した権利は、使う予定がなくなれば他者へ譲ることもできる。

TOKKEN(トッケン)の導入事例

富山県舟橋村:日本一小さな村が「権利」で関係人口を広げる

舟橋村は、人口約3,300人、面積3.47平方キロの日本一面積が小さい村だ。富山市中心部まで電車で約15分という立地にある。観光地として大きな集客力を持つわけではない。こうした村の課題は、一度訪れた人とどう関係を続けるかにあった。

村は2025年11月のTOKKEN開始時から参加した。第1弾は、村内農家の新米を3年または10年届ける「複数年お届け便」である。2026年1月には、富山地方鉄道が出品元となる「車内メロディクリエイト体験」の販売が始まった。

転機となったのが、同年4月24日に限定10口で売り出した「一生銭湯に入れる権利」だ。村営施設「さつきの湯」に月1回、無期限で入れる。価格は5,000円で、富山県外の在住者に限って販売した。日本一小さな村というストーリーがメディアやSNSで話題となり、8日後には完売が発表された。渡辺光村長は、単発の観光ではなく継続的な関係を築く仕組みに手応えを示している。

反響は法人向けにも広がった。5月には実証実験フィールド利用権、7月には村内4施設のネーミングライツの募集を開始した。駅メロでは第1号の購入報道をきっかけに、GLAYのTAKURO氏が第2号を購入している。小さな村の資源が、個人の通い先から企業の実証の場、著名人の表現の場へと広がった事例と言える。

TOKKEN(トッケン)の評判/クチコミ

僕はいつも、オフになると国内外を問わず旅に出ます。そんな生活を長く続けてきました。特に列車の旅が好きで、これまでにもいろいろな街を訪れてきました。その中でも、富山を訪れた時のことはよく覚えています。風情のある街で、どこか心に優しいものを感じたことが印象に残っています。そんな素敵な街の玄関口である駅の音楽に携わることができたことを、とても光栄に思っています。(GLAYのTAKURO氏・越中舟橋駅の車内メロディ制作権を購入)

ネーミングライツを通じて、村の読書・交流・子育て・交通利便を支えてくださる企業の皆さまと、新たな関係を築いていければと考えています。(公共施設のネーミングライツを出品した自治体)

日本一小さな村である舟橋村に、繰り返し足を運んでいただけるきっかけが生まれたことは、非常に意義のある取り組みです。(「一生銭湯に入れる権利」を出品した富山県舟橋村の村長)

参照元:PR TIMES

執筆者の所感

地方の現場に関わっていると、地域の魅力は「来てもらう」ことでしか届かないもどかしさを感じることが多い。TOKKENはその前提を変え、関わる権利そのものを先に手渡せるようにした点が新しい。駅メロに大物ミュージシャンが名乗りを上げた一件は、地域資源の見せ方次第で価値が跳ね上がることをよく示している。

運営するあるやうむは、2020年創業の札幌のスタートアップだ。同社によれば、2022年に北海道余市町で国内初のふるさと納税NFTを実現した。以来、26の自治体にNFTの返礼品を提供してきた。余市町の第1弾は1枚12万円のアート作品で、予約開始から2時間で完売したという。

近年は、地域おこし協力隊の募集から着任後の支援までを担う「地域おこし協力隊DAO」にも力を入れる。2025年度には17自治体が導入した。顧問には、協力隊制度を創設した元総務省自治財政局長の椎川忍(しいかわ しのぶ)氏が就いている。株主にはKDDIや北洋銀行、山陰合同銀行などが名を連ねる。

代表の畠中博晶(はたなか ひろあき)氏は東京出身で、2020年に札幌へ移住した。東京一極集中への対抗を掲げ、首都圏外の人材を優先してフルリモートで採用している。TOKKENは思いつきの新規事業ではない。5年にわたり自治体と積み重ねてきた関係の延長線上にあるサービスと言える。

懸念があるとすれば、権利の多くは「機会」の提供にとどまる点だ。首長プレゼン権で契約が約束されるわけではなく、駅メロの放送時期もダイヤ改正などで変わりうる。参加自治体もまだ4つで、選択肢は限られる。

それでも、ほかに代わりがない体験に値段が付いていること自体に価値がある。数量限定の権利が多いため、気になるものがあれば早めに商品ページを確認することをオススメする。

運営会社情報

会社株式会社あるやうむ
代表畠中 博晶
資本金1億6,449万円
設立年月2020年11月
会社URLhttps://alyawmu.com/
とある起業家

とある起業家

フリーランスWeb担当者。面白いサービスで起業し、世界を変えようとしている若者(若くはない)。インターネットとリアルの両方の事業運営の知見を元に、本当に困っている人の役に立つ事業を作りたい。

執筆者
[PR]Claude Code業務自動化

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