みなさんは、youtubeやInstagram、tiktokは利用しているだろうか。恐らく若年層のほとんどの方が利用しているのではないかと思う。従来、市場への認知は企業側が発する情報が強く一方的なものであったが、上記で挙げたyoutubeやInstagram、tiktokなどの媒体が普及したことによりユーザー側の影響値の方が強くなってきている。
そして、ユーザーのリテラシーが向上し表現方法も多様化し始めている。その中で大きなトピックとして挙げられるのが動画市場である。ここ数年「動画元年」という言葉が使われてきてはいるが国内サービスでは未だ市場を変えるようなサービスが出てきているとは言い難い。
だが、5Gの追い風を受けテキストでの訴求が多かった従来のeコマース市場は変化する可能性があると筆者は考えた。そこで改めて国内の「ライブコマース市場」の市場調査を行いまとめる。
showroom
【URL】https://www.showroom-live.com/
【運営会社】SHOWROOM株式会社
【配信者】タレント・アイドル・モデルなどの有名人が多い
【特徴】
2016年9月7日に開始された国内最大級のライブ配信サービスである。
配信初期からアイドルグループなどの有名タレントが配信者となり国内の配信アプリの売上は一位となっている。
配信画面にユーザーのアバターも表示されるという独特な形式で、視聴者もコンテンツの一部とした。
収益モデルは、演者に対するアイテムなどでの投げ銭である。
だが、最近は販売員とのコラボなどでECへのリンクが付いているケースもあり役割の幅を広げている。
また、アプリだけではなくwebでの視聴も可能となっておりPCでの視聴者の割合も少なくないだろう。
代表の前田氏は、本を2冊ほど出版しテレビなどの露出も多く人気が高い。
所感
ライブ配信の先駆けとなったのはDMMのサービスであると言われているが、より一般的なサービスとして男性でも高齢者でも触れるようにしたものがSHOWROOMだと個人的に思っている。サービスを立ち上げた前田氏自身が路上ライブでお金を稼ぐという体験をしており、そこからプロの認知ではなく素人だからこその共感や成長に対する応援、ユーザーを運営側にしてしまうなどが発想され実装されている。
今後もどのような仕掛けを作っていくかとても期待値の高いサービスである。
liveshop
【URL】https://liveshop.jp/
【運営会社】株式会社Candee
【配信者】タレント・インフルエンサーに加えアパレル店員、美容部員などの販売員も多い
【特徴】
取り扱っている商品としては女性ファッション系が多く、若年層をターゲットとしている印象。また、値段も比較的に低価格モノを紹介しているケースが多い。配信形式は一般の人はほとんどおらずタレントか販売員がメインでスタジオで配信している。紹介形式としては今のトレンドや着こなし方が多くたまに雑談なども入る。
所感
実際に使ってみた感想としてはログインしていないと飛ばして再生できなかったり、ボタンが多かったりなど「取り敢えず見てみるか」という角度の低いユーザーに使ってもらうには色々とハードルが高いと言えそう。ただ使用しているタレントとクライアントであるアパレル会社がマッチしており一定数のユニークユーザーを持っており販売チャンネルとして確立している印象はある。
また、一般ユーザーの配信も専用アプリがあり配信ができる用ではあるが視聴サイトから見る限り一般ユーザーの配信が上位表示を取っていなかったので運営側でタレントのマネージメントを手動で行なっている印象なので独立したプラットフォームになるまでは時間とお金がかかりそう。
baselive
【URL】https://thebase.in/baselive
【運営会社】BASE株式会社
【配信者】ほとんど一般人のみ
【特徴】
baseliveは、ショッピングカートであるBASEの機能の一つでる。そのため配信者は基本的にはBASEを使ってECを展開しているオーナであるので一般人である。見ている限りではスタジオとかではなくショップや家などのケースも多くスマホから撮影しているケースも多い。販売形式も商品の説明という点では他のライブコマース同様でしたが一般配信者ということもありコメントへの回答をしっかりと行なっている印象がありライブ機能をユーザーとのコミニケーション手法の一つとして利用している。
配信時間が毎日10時00分~21時59分の間に限られているのも一つの特徴と言える。
所感
BASEの機能ということで販売者が直接配信してくれているので運営者がディレクションする工数が減るためBASEでショップを開けば開くほどに配信チャンネルが増加する可能性があるため拡張性が期待ができる。また、配信者はBASEでの販売数を見ながら配信をしていたりするので大量の注文が入った時のリアクションも個人的に面白いと感じた。販売者と配信者が同じであるメリットとしては、商品のことを一番理解している人物であるための質問に対して適切な回答を得ることができるのとプラットフォームとしては様々な商品を紹介する配信チャンネルを持つことが可能になる。
ヤフオク!ライブ
【URL】https://auctions.yahoo.co.jp/topic/promo/yahuoku-live/
【運営会社】ヤフー株式会社
【配信者】ヤフオクの出品者
【特徴】
BASEと同様に出品者が直接、スマホなどで配信を行なっているのでチャンネルの数は多い。また、通常のECとはお異なりオークション形式であるため終了間際などでライブ配信を行うと実際にセリを行なっている臨場感を味わえる様な設計となっているわけだ。時間は8時から25時とBASEよりも長いのが特徴だがアーカイブはできない。
所感
実際に見てみるとやはり大手ということもあり動画がスムーズに再生された。また、配信者は商品の説明よりもライブ配信の様に閲覧者と密にコミュニケーションを取っているのも特徴的であった。なので、面白い配信者を探すことは簡単かと思う。だが、その配信者が出品している商品を実際に閲覧者が購入しているかという点が気になる。
TAGfab
【URL】https://tagfab.jp/
【運営会社】株式会社Moffly
【配信者】フィットネストレーナ
【特徴】
アプリの紹介はファッション系のライブコマースとしているが、実際に配信者としてフィットネストレーナーが多い。配信内容もフィットネスの内容がメインである。アプリ自体の商品としてはファッション関連のモノが多い。
調べて見るとTAGfabとは別にTAGAPIというサービスも提供しており、サービス内容は、クライアントのECに手軽にライブ配信を実装することができるクラウドサービスのようだった。まだスタートアップということもありクライアントの偏りにより配信内容もフィットネスになってしまっているようだ。
所感
まだ、クライアントが多くない状態で会社としての舵取りとしてTAGfabに対してユーザーを集客しそこへの出稿を行うクライアントとするようにするのか、それともOEMのようにシステムを貸し出すようにして行くのかがまだ明確にわからない印象をもつ。
CHECK
【URL】https://check.tv/
【運営会社】株式会社エブリー
【配信者】販売者とタレント(一般人はいない印象)
【特徴】
料理動画のDELISH KITCHENを提供している株式会社エブリーと大手通信キャリアであるKDDIが資本業務提携によりリリースしたライブ配信サービス。KDDIは、大手ショッピングモールであるWowma!を持っており、配信している商材はこのモールのモノが多いと想定できる。なのでジャンルも幅広く家電、食品、美容健康やファッションと幅が広い。
また、配信形式はスタジオにて配信しておりチャンネルによってはゲストとして生産者が登場し、商品についてインタビューを行なっている。
所感
KDDIの資本が入っており、潤沢に資金があるからなのか一つ一つのチャンネルのクオリティーが高い。だが売れている商材としてはグルメや家電のジャンルが多く他のライブコマースがターゲットとしている若年層とは異なり主婦層に対して強い印象を受ける。
KDDIのグループにはアドテク領域の会社であるスーパーシップもあるので広告領域も絡めて展開していくとより面白くなってきそう。ただ、大企業が関わっているだけにエッジのきいたチャンネルなどが立ち上がることはなさそうなので若年層に対してリーチを広げるのは難しいと感じた。
まとめ
今回は、6つのライブコマースサービスを調べまとめたが私の周りでは上記のアプリを使っている人は圧倒的に少ない印象だ。というのもライブコマースの設計は、基本的にテレビショッピングをスマホで行うモデルとなっている。だが、テレビとスマホではユーザーの使用目的が大きく異なっている可能性がある。
例えば、どんな時にあなたはテレビショッピングを見るだろうか。多くの場合が他にめぼしいチャンネルがないときか前の番組が終了して放置していたらテレビショッピングが流れてたなどだろう。つまりテレビショッピングはテレビに張り付いて見たいものではなく「何かをしながら」見ていることが多い。
逆にスマホはユーザーの役割に応じて使用するケースが多く一つのアプリの使用時間は細かく切られているケースが多い。インスタに一時間かけたりツイッターに一時間張り付いているユーザーは少なくどのアプリも開いて使用している時間は10〜長くて30分程度だろう。
なのでテレビショッピングのような設計をスマホで行うとユーザーはスマホ画面を占有されることに不自由さを示す傾向があると考えられる。特にライブ配信の多くの場合が終わりが決まっていないため番組のオチが見えず退屈に感じてしまうこともありそうだ。
ただ、テキストよりも画像、画像よりも動画の方が情報量としては多いことは明らかで通信速の進化とともに業界が変化したことも事実である。なので現在の形で普及するかはわからないがいつか動画での一対多のコミニュケーションを実現するサービスは出てくるだろうと思う。