back check(バックチェック)とは?
中途採用者が前職でどんな人物像で、どんな実績を残したかを調査できるリファレンスチェックサービス。2019年10月にリリースしたサービスで、IT系の大手企業を中心に既に500社の企業への導入実績がある。
企業が中途で入社してくる社員に信用調査の一環として、前職への実績や人物像などを第三者に照会することをリファレンスチェックと言う。書類選考や採用面接だけではわからないことを確認することで、採用のミスマッチを軽減することが目的。
第三者への照会は主に在籍企業の同僚や上司といった人物に転職者の発言内容に間違いがないか確認を行い、透明性・公平性の高い採用を支援してくれる。確認は恐らく足を運んで対面する、といった形式ではなく、転職者自身が同僚や上司にリファレンスチェック用のURLを送り、回答を貰う、という形式なので、推薦者のコメントが閲覧できるようなサービスとなる。
ターゲットユーザ層
採用活動を行う、経営者や人事担当者
back check(バックチェック)の特徴・メリット
3日後には転職者の情報が取得できる
リファレンスチェック依頼から3日後には原稿用紙5,6枚分(平均文字数2000文字程度)の情報を取得でき、良い内容だけでなく悪い内容も記載されるような設計となっている。勤怠面、誠実性・責任感、ストレス耐性、コミュニケーション・チームワークなど、面接ではわからない情報を手に入れることができる。
応募者に対して適切なスクリーニングをかけることができる
リファレンスチェックをした上で、「評価が高い」「評価が低い」「リファレンスチェック不可」の3パターンに応じて、応募者に対してスクリーニングをかけることができる。
back check(バックチェック)の費用・料金体系
リファレンスチェックサービスは基本的に1件あたり〇円、という料金体系となるが、同社は日本初の月額固定料金となっており、何件チェックしても費用が変わらない。月額費用は不明。
back check(バックチェック)の利用の流れ
- Step 01転職者の情報をback checkに登録
back checkの管理画面からリファレンスチェックを行いたい人物(転職者)の情報を登録すると、転職者にリファレンスチェックをしてもらうための案内がメールで配信される
- Step 02候補者は推薦者へリファレンスチェックを依頼
転職者は前職の同僚や上司の氏名・メールアドレスなどの情報と回答期限、質問内容を入力して回答を依頼(質問内容は職種ごとに各50問程度が用意されており、選択する形式)
- Step 03回答した内容をback checkで確認
推薦者が回答したリファレンスチェックの結果をback checkで確認
back check(バックチェック)の導入事例
サイバーエージェント、メルカリ、BASE、freeeといった上場企業を中心に、様々なIT系企業を中心に導入されており、合計500社、5,000件のリファレンスの取得実績がある。
執筆者の所感
雇用の流動化に伴い、履歴書や職務経歴書から在籍企業や転職回数を判断する従来のやり方では、適切な評価が難しくなっているものの、求職者の発言をそのまま信じることも難しい、という問題がある。
しかしながら、こういったback check(バックチェック)のようなリファレンスチェックサービスを利用したとしても、求職者と関係性の良い人物に確認をしたところで、ネガティブな回答は得られない可能性がある。
このサービスは求職者が自分で同僚や上司の連絡先を設定し「求職者はこんな人物だったよ」と、企業側は回答内容が閲覧できる流れ。そのため、求職者は関係性の悪い人物を選ぶことはなく、自分のことを評価してくれる人物(推薦してくれる人)へリファレンスチェックを依頼するため、ネガティブな意見は拾えない可能性が高い。
また転職者自身が今の会社に内緒で転職活動をしている場合は、回答が得られない可能性もある。
「リファレンスチェック」と似た言葉で「バックグラウンドチェック」という言葉がある。「バックグラウンドチェック」とは履歴書や職務経歴書の内容(学歴や職歴)に虚偽がないか、反社との関わりはないか、犯罪歴や破産歴をチェックするもので採用調査、雇用調査、人事調査とも呼ばれる。
種類 | 目的 | 確認する内容 |
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リファレンスチェック | 転職者と企業との相性を調査する | 過去に一緒に働いていた同僚や上司からの評価で、業務の実績や勤怠態度、人物像、強み・弱みなど書類や面接でわからない情報 |
バックグランドチェック | 採用すべきでない転職者を事前に調査する | 学歴・職歴・反社チェック・犯罪歴、勤怠、金銭トラブルなどの情報 |
back check(バックチェック)では、あくまでリファレンスチェックのみになるので、理解をした上で利用する必要がある。外資系企業では採用前にリファレンスチェックを行うことが多いものの、まだまだ日本では浸透していない状況。
このサービス、今後流行るかどうかを考えてみたが、このサービスだけでの上場は難しいと思われる。意識の高いIT系企業では受けが良さそうで、回答もある程度の件数が確保できそうだが、他業種で、安定した回答件数を確保できるイメージがつかない。
本来は回答者(推薦者)にインセンティブを持たせて回答してもらう流れが綺麗だが、インセンティブを持たせてしまうと中立性がなくなり、データの信頼性がなくなる。(お金が貰えるなら好意的なコメントしか書かなくなる可能性が高い)
また一般的に転職活動者が今の職場に告知をした上で転職するケースがまだまだ少ない現状がある。現状、前職にback checkを依頼できないケースは20%とのことだが、サービスがスケールするほど、依頼できない件数は増えていくと思われる。
また、こういったリファレンスサービスは競合の参入がしやすい点もある。リクナビやマイナビが転職者の管理画面に、前職での同僚や上司の推薦文章を記載できる機能をリリースしてしまうと、このサービスの優位性は「媒体に問わず月額課金で何件でもリファレンスチェックが可能」という点しか残らない。
Wantedlyは上場したものの、未だに意識の高い転職者と、意識の高い企業との転職支援サービスという印象で、(実情は知らないが)都内のIT系企業以外で活用されているイメージが全くない。このサービスも、Wantedlyと同じようなターゲット層が活用するだけで、大きくスケールしていくイメージがつかない。
色々ネガティブな意見を記載したが、企業側と自由に嘘がつける転職者間における情報の非対称性は確かに問題で、何かしらの形で解決できると良いと思っているので、期待したいところ。
運営会社情報
会社 | 株式会社 ROXX |
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代表 | 中嶋 汰朗 |
資本金 | 1,897,774,829円 |
設立年月 | 2013年10月 |
会社URL | https://roxx.co.jp/ |