作成日:2019.06.11  /  最終更新日:2019.06.13

TokyoOtakuMode代表が語る事業フェーズごとの考え方【ピッチイベントBLAZE(ブレイズ)】

TokyoOtakuModeについて

参照元:https://corporate.otakumode.com/aboutus

2011年に日本のオタク文化を世界に広めることを目的としFacebookファンページ「Tokyo Otaku Mode」を開設。現在(2019年)、Facebookのいいね数は、2020万人以上とEコマース分野(global)ではitunesに継ぐ第3位、ブランド分野(global)ではLOUIS VUITTONに継ぐ第25位と日経企業の中では突出しているマーケティングチャンネルを有している企業である。

Facebookでのネットワークを活用し同社は、オタク文化を軸に越境EC事業、商品開発事業、メディア事業、翻訳事業など多角的に事業を展開していおり、日経のIT企業では珍しいグローバルにマーケティング領域を拡大させているユニークな企業である。

オタクのマーケット

参照元:anime expo

世界的に見て日本のアニメコンテンへの興味関心は伸びており、毎年LAで行われているanime EXPOというオタクイベントでは毎年来場者数を伸ばしており2017年のイベント来場者数は4日間でおよそ35万人動員という規模感である。

動画配信サービスの市場に置いても拡大しており日本ではまだ知られていないがcrunchyroll(https://www.crunchyroll.com/)というAmazon,Netflixとは別の独立系アニメ配信サービスが盛り上がりを見せている。このcrunchyrollでは、毎月7ドルほど払う有料会員数が2017年時点で200万人を突破している。このことから如何に世界中の人が「日本のアニメイベントに行きたい」「日本のアニメが見たい」というマーケットとなっておりAmazon,Netflixなどの大手もアニメへのコンテツ投資を進めている。

なぜ、大手もアニメ制作への投資を行なっているかというとコンテツとしてアニメは非常に投資対効果が良いと考えられているためである。例えばディズニーやハリウッドでは一つの作品に対して100億円以上かかっているケースが多い。それと比べて日本はアニメ制作にかかる費用はおよそ3億円程度。この費用でスティッキーなユーザーを取れて売り上げを伸ばせるなら100個とか200個投資をしても回収の目処が立つ。Amazonとかになるとおそらく数千億円規模のコンテツ投資予算があるのでそれを日本のアニメに投資を行い売り上げを立たせユーザーを獲得するという好循環を生み出せる。

オタク文化は、そんな拡大を見せる市場なのである。

TokyoOtakuModeのやっていること

2011年に立ち上げたfacebookのファンページが2020万人以上いいねがあるので、このページを利用してTokyoOtakuModeのECサイトへ誘導し、その自社のECサイトにて収益化するようなビジネスモデルとなる。

参照元:TokyoOtakuModeビジネスモデルについて語る小高さん

つまり、facebookでは日本のオタク文化を発信しフォローやいいねをしてもらう。このフォローやいいねなどのアクションを行なったユーザーは、アニメに興味を持っていると想定される。そこで、このニーズを満たしているECサイト「otakumode.com」へ導線を繋げれば潜在顧客を獲得することができる訳である。

現在は、130ヶ国にて越境ECを展開しており、7周年を迎えてるところ。

フェーズ毎の考え方

ベンチャーの中でもフェーズは、様々である。本当に立ち上げたばかりのスタートアップなのか立ち上げて3年目を迎えて成長が鈍化してしまったベンチャーなのか順調資金調達を終え事業をさらに拡大するベンチャーなのか。その度に考え方は変わるのでそのフェーズ毎にどう考えていたのか自分の体験から語って頂いた。

①プロダクト作成


・エンジェルラウンド
・「プロダクト」が全て
・事業計画って何ですか!?
ベンチャーの始まりのフェーズは、まずプロダクト作りであり、プロダクトが全てである。これから作るプロダクトは「日本で一番なのか」、「ユニークな特徴があるのか」あるいは「イケている」のかなどそれだけでいいフェーズである。

逆にここでは、事業計画については「それって何ですか!?」ぐらいで考えていてもいい。売り上げも立っていない状態で事業計画を立てても「3年後の売り上げは」と考えても仮定の中の仮定となってしまう。もっとわかりやすく表現すると嘘の嘘となるので何の意味もない。

実際に資金調達を行う際にgoogleのアドワーズのPMつまりかなりすごい人へ提案する機会があった。その際にプロダクトの説明だけガーっと話した。そしたら先方が「もういいわかった」と切り込んで投資を決定してくれた。その時間がおよそ5分程度である。要するに創業の際、投資家はプロダクトだけでそれが面白いかどうかだけである。

②売上


・シリーズA/Bあたり
・「有料顧客」がすべて
・事業計画? ですよねー!
プロダクトは、できてプロダクトを動かして売上を作っていくフェーズ。お金に関しては、最初に考えるべきは「売上」もっと言うと「粗利ではなく売上」にフォーカスすることが重要。

ここでは、お金を払っているくれる「有料顧客」の獲得が必要。例えばslackとかでも無料アカウントだけしかいなければ売上にはならない。有料アカウントがいなければスケールしない。

この時期になれば、売上が発生しているので「なんちゃって事業計画」は必要になってくる。具体的には有料顧客が時間軸に対してどれだけ増えていくかのトップラインだけで十分なフェーズ。

③粗利


・シリーズC以降
・「利益出る/出そう」が大事!
・事業計画、きっちりね!?
このフェーズになると売上だけでは無く「粗利」が重要になってくる。逆説的に言えば②のフェーズでは、赤字でもいい極端に言えば200円払ってくれるユーザーに対して500円払っても問題ないフェーズだった。だけど、③のフェーズとなるとそれではダメでしっかり「粗利」が出ているかが重要になってくる。

なぜなら事業に投資して「粗利」が出ていれば売上のスケールと共に「粗利」もスケールしますだから黒字になって利益を出すことができますという形にしなければ行けないから。「粗利」が出ていない状態でスケールしてしまうと単に赤字の額が増えるだけなのでしっかりと「事業計画」を立てる必要が出てくるためきっちりやる。

メモ

・フェーズ毎思考を変える
・株主の期待も変わる
・必要な人材、予算、働き方が変わる
・性善説とサーヴァント思考で生きていく

BLAZE(ブレイズ)おすすめポイント

・著名な起業家にフランクに質問できる
・経験ベースで役立つプレゼン
・フランクなネットワキングの時間がある

所感

事業を作る上で結構、紙の上でプロダクトから事業のスケールアップを考えてついつい売上や利益を何年後に出すということを計画しがちだが、今回の話のようにフェーズ毎に具体的に何を考えていくべきなのかという話は純粋に役立つ内容だった。

また、今回の登壇者である小高さんは実際に創業から事業をグロースさせて来た経験による知見であるため話がリアルでイメージがしやすかった。

本記事では、文字起こしに際して一部ユーモア溢れるストーリーを掲載できておりませんので、興味がある方は是非イベントへ参加して見ては如何でしょうか。

参照元: https://blaze.events/

渋谷で働くネット広告マンです。大学生のときからwebサービスとスタートアップが好きなちょっと変な人です。資金調達関連や新しいテクノロジーを身近に感じるためにネット広告会社に新卒入社しました。

執筆者

トピックス

執筆者一覧