2018.11.18

一部上場企業の末端で働く私が考える人事評価のトレンド

UEHARA

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私は、一部上場企業の平社員として働いており、かつ副業、フリーランスとしても働いている。
つまり社会を支える労働母体の大企業と労働の最小単位である個人の両方で”評価”を受けている訳である。そんな企業の人事評価を俯瞰的に見ることのできる私がその問題と対応策についてまとめる。

人事制度の特徴

まず、そもそも人事評価制度とは社員のパフォーマンスを評価し、それを昇進や昇給といった待遇に反映させる社内制度のことである。この制度を確立したのは、会社にて効率的に人を動かす必要性がもっとも高かった高度経済成長期だと考えられる。

当時は労働を効率化するシステムが存在しなかったため、いかに多くの人を働かせるかが利益を生み出さす方法となっていた。そのような背景を含め当時の人事評価制度の特徴を下記にまとめる。

・四半期、半年、一年など、一定の期間ごとに実施される
・「上司」が「部下」の評価に対して権限を持つ
・年功や能力、成果、職務といった基準が用いられる
・人事情報として取り扱われ、社内にはオープンにされない
・部署によって評価の指標が異なる
・評価権限が極端に限られておりバイアスがかかりやすい

特徴としてはまとめると、決まった時に決まった人が評価を行うという安定を重視したような仕組みとなっている。

求められる多様化の理由

現在ではベンチャー企業を中心に評価の多様化が進んでいる。その主な理由として3つ挙げらる。

・業界全体の変化のスピード
・少数精鋭の時代
・個人が持つ影響力の大きさ

業界全体の変化のスピード

ネットの普及により、産業の形態が日々変わるようになっている。
例えば、ECが存在しなかった時代には物を買うために百貨店などの実店舗に行くのが通例であったがネットの普及によりPCで自宅にて物を購入することができるようになった。

さらにスマホの登場によりどこにいてもオンラインにすることができECから物を購入することができ場所に対する依存性が低くなった。これにより企業側は店舗スタッフを10人雇うよりもECを構築、運用できるエンジニアの需要が伸びた。

つまり、市場の変化によって必要とされるスキルが変わり、欲しい人材が変わったということだ。現在このような変化が断続的に起こっており決められた仕事のみこなしておけば評価される時代ではなくなってきている。

また、その大企業によくある話だが、その会社のみに存在する仕事は市場では需要がないのが現状なのである。

少数精鋭の時代

会社を立ち上げてまもないスタートアップでは、一人で人事、マーケティング、総務などのマルチタスクをこなしているケースも少なくない。そんな人材に裁量を持たせず指示したことだけをやってくれということは無理であり、管理、監視するリソースもないので無駄なのである。

また、そのようなことをやっているとスピード感が落ちてしまいあっというまに資金ショートを起こしてしまうのが容易に想像できる。

なので上司とKPI、KGIを決めてそのやり方については基本的に口を出さず結果のみを求められるような形がベストなのだろう。

個人が持つ影響力の大きさ

よく耳にする働き方改革を中心にフリーランスや副業、エンタメ関連ならyoutuberやインスタグラマーなどが注目を集めている。これは、個人にフォーカスするようなプラットフォームが誕生した影響によるものだ。これまでは、個人が発信する媒体がそもそも少なく法人側も懐疑的な人が多かった。

だが、個人に案件を依頼するクラウドソーシングの分野にてクラウドワークスが上場し、youtuberを束ねるMCNとして、UUUMが上場し、マス広告の代名詞であるテレビCMに出演していた有名人が次々とインスタにてプロモーションを行いはじめた。

これらの実績からもはや個人の影響力や能力をお金に変えるプラットフォームはもはやインフラとなり、企業の枠を飛び越えて活躍する人材が続出している。

逆にこれらの影響力をSHARPやタニタ、TENGAはうまく活用している印象である。つまり、社内の仕事ではなく個人が社外にてタレント性を保有し、それを会社で消化できるような柔軟な評価を必要としているのだ。

このような企業の背景により企業全体の最適化よりも個人の生み出す成果の最大化が現代の人事評価の課題と言える。

今時の人事評価制度のトレンド

上記の変化と人事評価を注目されているベンチャー企業からそのトレンドを読み取っていく。

決められた期間ではなく成果にフォーカスした評価

これまでの多くの企業での人事制度評価は、決算期などに合わせて決められた期間に査定を行うのが主流であった。このメリットとしては、一斉に評価を行うことができるのでその処理としても効率的である。だが、デメリットとしては成果がちょうど査定前に起きることなどあまりなく、その期間に出した成果を全て記憶しているわけではなく、記録から遡るようにしなければならず時間がかかってしまう。

なので、一つのプロフェクトや一つの工数単位で何か成果が出た際にフィードバックを行い、評価として反映させるような仕組み作りを行う企業が増えている。

360度評価

これまでの多くの企業が限られた人、主に上司のみが文字通り評価を”下して”いた。このメリットとしては、やはり一部の人が評価するので工数が少なく効率的ではあった。

デメリットとしては、マネージメントする立場であるので現場の能力に対する正当な評価は難しく、さらに少数に評価権限を与えると偏見などが評価の割合を大きく締めてしまう可能性がある。

そこで、生まれたのが360度評価である。私の記憶で一番はじめに導入していただろう企業がオンザエッジ(現livedoor)だと思う。内容としては、評価を自分以外つまりは部下、同僚、上司などの文字どうり仕事を共にしている周囲の人に評価をして貰うことにより、評価の定量化や納得感を与えることができるのが特徴である。

人事評価のオープン化

人事評価は給与に直結していることが多いため、どのような理由で評価しているかはオープンにしないことの方が多い。だが、最近では会社でどのような人物を評価しますという傾向を知るためにも一部社内にて共有しているケースがある。

これをすることにより、会社全体としての方向性やバリューを知ることができ、他の人の評価プロセスをオープンにすることにより不正な評価を行いづらくする効果が期待できる。

まとめ

上記の変化を簡単に下記にまとめる。

種類 従来 トレンド
評価期間 一定 リアルタイム
評価権限 一部に集約 対象者を含めた全体
評価情報 閉鎖的 一部公開
評価指標 一部曖昧 定量的に設定

流れとしては、やはり市場変化が目まぐるしい近年においては評価指標も一定ではなく常に変化し、組織も市場に合わせて変化を繰り返す。それに対応するためには、評価権限を広げ、スピード感を高めるというのが人事評価制度市場が生み出した答えだと思う。

そして、それに対応するために「カオナビ」「ジョブカン」「HRMOS」などの人材管理システムの発展が進んでいる。これらのシステムの概要については、またの機会に紹介することにする。

UEHARA

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渋谷で働くネット広告マンです。大学生のときからwebサービスとスタートアップが好きなちょっと変な人です。資金調達関連や新しいテクノロジーを身近に感じるためにネット広告会社に新卒入社しました。

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