作成日:2020.03.09  /  最終更新日:2021.03.04

ビジネスマッチングサイトとは?各サービスのビジネスモデルを解説

MORII RYOJI

MORII RYOJI

この記事ではビジネスマッチングサイトとはどういうものか、掲載を検討しているが費用はどうなっているのか、どうやって運営側は収益を得ているのかといった疑問を持つ経営者層の方に向け、あらゆるビジネスマッチングサイト(特にIT系の業態)を見てきた経験から実態を解説していく内容となっています。

ビジネスマッチングサイトとは

ビジネスマッチングとは、自社のサービス・製品の売上UPを目的とする企業と、それらを求める企業を結び付けることを指し、ビジネスマッチングサイトはそれらをWeb上で実現するサイトのことです。

会社を設立しても、思うように取引先や顧客が増えず、交流会などで名刺交換をして営業活動をする方が多いと思いますが、相手がそのサービスや製品を求めていなかったり、予算が合わなかったりと、需要と供給のマッチというのは簡単には実現できません。

ビジネスマッチングサイトは、需要がある人(発注者)と供給したい人(受注者)が集まるため、非効率な営業活動をせずとも、待っているだけで仕事の相談(以後、案件)が入る可能性があります。発注者と受注者が法人企業(B)の場合が多いため、BtoBマッチングサイトと呼ばれたりします。

製品の場合は主に製造業が多いのですが、サービスの場合は、ホームページ制作やシステム開発などのIT系、顧問税理士や顧問社労士などの士業系、リフォームや店舗内装などの建築系、配送や輸送などの運送・物流系などがあります。

IT系や建築系では下請け先探しに特化したビジネスマッチングサイトもあります。

ビジネスマッチングサイトの特徴

ビジネスマッチングサイトにもよりますが、基本的な流れとしては「掲載申込/掲載ページ作成/案件が発生/サイト上のメッセージ機能またはEメールでやり取り/商談/契約」というフローになります。

料金体系は後述しますが、無料のところもあれば、月額費用が数十万、成果報酬が契約金額額の20%、というようにバラバラです。

ビジネスマッチングサイトのビジネスモデル

ビジネスマッチングサイトのビジネスモデル(収益方法)は、基本的に仕事を依頼する(発注者)側は無料、仕事を受ける(受注者)側が有料となります。

受注者側は掲載時/申込時に費用がかかる「掲載課金型」、お問合せが発生した際に費用がかかる「反響課金型」、契約・成約した時点で費用がかかる「成果報酬型」あり、サイトによっては複数の課金形態だったり、プランによって変わる場合があります。

ビジネスマッチングサイトへの掲載は無料で、案件に対応する際に有料、となる場合も多くあります。

掲載課金型のビジネスマッチングサイト

多くの掲載課金型は初期+月額という仕組みで、月額費用でマネタイズを行うため、最低契約期間が存在する場合が多いです。

案件が獲得できるかわからないのに途中解約ができず費用がかかるため、リスクがありますが、掲載課金型のビジネスマッチングサイトは規模感が大きいところが多く、案件数も多い特徴があります。

反対に月額課金でマネタイズするため、お金を払う受注者側を解約させないよう、仕事の依頼を複数の会社に送信(一括見積もり)させるケースが多く、受注者側としては相見積もりとなるため価格競争になりがちです。

反響課金型のビジネスマッチングサイト

反響課金型(リード課金型)は、案件が届いた時点で費用が請求されるモデルです。

掲載してお金を払ったのに案件が全くない、というリスクが回避できるメリットがあるものの、掲載課金型同様、案件の配信件数が増えると収益化できるので、相見積もりとなるケースが多い特徴があります。

相見積もりになり、商談すら至らず、全く契約ができない、というリスクがあります。ホームページ制作やシステム開発などの案件は1件あたり5,000円~20,000円の間で価格設定をしているところが多く、予算帯に応じて変更している場合があります。

成果報酬型のビジネスマッチングサイト

成果報酬型は、契約した時点で初めて費用が請求されるモデルです。

契約金額の5%~20%程度が手数料として支払う費用になり、顧問契約や保守契約といった月額報酬での契約は、1年間あたりの報酬額の%で計算されたりします。

また、一度契約した会社からの二度目の発注に関しても、同様に費用を請求するところと、二回目は費用を請求しないところがあります。成果報酬型は、受注者側の企業にリスクが全くない、というメリットがありますが、サイト運営側としては少しでも多く契約して欲しいため、発注者のヒアリングを徹底したり、商談の場に同席したりと、発注者のサポートが手厚い印象です。

初期・月額等がかからない、完全成果報酬型のサイトであれば、相見積もり形式にするメリットが少ないため、紹介会社のように、1案件に対して3社の受注者のみ提案、といった感じで受注者側の企業数を絞り、競合数を減らしているところが多いです。

受注者側は営業代行会社に依頼するように、ビジネスマッチングサイトを利用できますが、成果報酬型のデメリットとしては、案件が少ないところが多く、支払う手数料が高額になりがちな点です。

カテゴリ別ビジネスマッチングサイト17選

各ビジネスマッチングサイトのビジネスモデルと費用を解説していますが、情報の正確性は保証できませんので(料金体系が変わるところが多いので)、実際に各サービスへ問合せをした上で、確認をお願いします。

オールジャンルのビジネスマッチングサイト2選

比較ビズ

あらゆるジャンルを網羅している日本最大級のビジネスマッチングサイト。知り合いの会社も何社か掲載しており、話を聞く分に、数あるマッチングサイトのなかでも、トップクラスの案件数を誇っている。

比較ビズの料金体系は掲載課金型で、初期費用+月額費用となっている。初期費用は交渉すれば値下げできるケースが多いようで、月額費用は約1.5万円となる。

税理士・社労士などの士業、ホームページ制作・システム開発などのIT系の案件が特に多く、近年動画制作系の案件が急増している。

アイミツ

ここ数年、急成長を遂げており、比較ビズ同様、あらゆる業界に網羅しているビジネスマッチングサイト。

アイミツの料金体系は掲載課金型+成果報酬型となっているが、聞く話によると各業界で料金体系がバラバラのようだ。制作会社の知り合いが掲載しているが、月額10万円かかるようで、契約すると契約金額に応じた%を請求される。

IT系のビジネスマッチングサイト5選

ホームページ制作やシステム開発、アプリ開発など、IT系に特化したビジネスマッチングサイトです。

発注ナビ

2015年に運営元の会社をアイティメディアが100%子会社化した、システム開発に特化したビジネスマッチングサイト。

発注ナビの料金体系は月額固定型と反響課金型があり、ホームページ制作案件か、システム開発案件のどちらを対応したいかにより費用が変わる仕組み。

反響課金型の場合はシステム・アプリ案件は1件につき9万円、ホームページ案件は1件につき2万円がかかる。月額課金型の場合はシステム開発会社が月額10万円、ホームページ制作会社は月額5万円となる。

Web幹事

ホームページ制作に特化したビジネスマッチングサイト。

業界のなかでは後発ながら、非常に勢いがあり、5,000社以上の制作会社をデータベース化している。一度営業を受けて軽くやり取りをしたことがあるが、母体が制作会社ということもあってか、業界知識があり、制作会社のブラックボックス化を解消するというビジョンを、本気で実現しようとしている印象を受けた。

Web幹事の料金体系は成果報酬型で、2018年11月のプレスリリースでは10%を手数料としている。同社はマーケティング周りの施策が非常に上手く、数あるビジネスマッチングサイトのなかでも、今後さらに伸びていくと予想している。

ホームページ制作.jp

2011年にリリースされ、業界のなかでも古参にあたる、ホームページ制作に特化したビジネスマッチングサイト。

ホームページ制作.jpの料金体系は反響課金型で、1案件8,000円~1万円の費用がかかる。

リカイゼン(旧ネクスゲート)

同じくホームページ制作に特化したビジネスマッチングサイト。もともとネクスゲートというサービス名だったが、運営元変更に伴いサービス名が変更された。

リカイゼンの料金体系は掲載課金型で、初期費用は無料、月額6万円となる。弊社宛に結構な頻度で営業メールが来ており、年間に数百件の案件が発生しているとのこと。

ITトレンド

法人向けのIT製品の比較サイトで、会計ソフトや勤怠管理ソフト、給与計算ソフトなどを比較できるサービス。運営元の株式会社イノベーションは2016年12月にマザーズに上場している。

ITトレンドの料金体系は反響課金型で、1件あたり1万円の費用がかかる。

士業系のビジネスマッチングサイト2選

税理士ドットコム

弁護士ドットコムが運営する、税理士に特化したビジネスマッチングサイト。ビジネスマッチングサイトというよりは税理士紹介会社に近い。

税理士ドットコムの料金体系は成果報酬型で、顧問案件の場合、手数料の支払い回数によって異なり、1回払いの場合は年間報酬額の72%、2回払いの場合は年間報酬額の75%、12回払いの場合は年間報酬額の76.68%。

ビザスク

2020年3月10日にIPOした、スポットコンサルに特化したビジネスマッチングサイト。コンサルを雇うほどでもないが、その道の詳しい人にアドバイスしてもらいたい、と思ったときに使えるサイト。

ビザスクの料金体系は成果報酬型で30%が手数料となる。クラウドソーシングと性質が近く、同じようなビジネスモデル。

建築系のビジネスマッチングサイト2選

ツクリンク

元請会社・協力会社・職人を探すことができる、建設業のビジネスマッチングサイト。工事案件の獲得や下請け先で活用することができ、受注者・発注者はともに建築業の会社となる。

ツクリンクの料金体系はフリーミアムモデル(無料は機能制限で有料で開放するモデル)で、有料会員の場合は月額費用がかかる。有料会員になると、求人掲載や掲載ページの充実化、工事代金の保証、メッセージ無制限といったメリットがあり、月額1万、3万、10万円の3つのプランが存在する。

内装建築ドットコム(旧シェルフィー)

発注総額500億円以上、利用社数700社以上を誇る、開店・改装したい施主と、設計・施工会社を繋ぐビジネスマッチングサイト。

内装建築ドットコムの料金体系は成果報酬型で、施工金額の約3%が手数料となる。シェルフィーとしてリリースされた当初は成果報酬5%、その後は成果報酬0の月額15万円となり、今はまた成果報酬に戻り、3%の手数料になった、という経緯がある。(確か成果報酬の手数料は施工金額によって変動するはず)

製造業系のビジネスマッチングサイト2選

イプロス

キーエンスの100%子会社が運営する、製造業のビジネスマッチングサイト。

イプロスの料金体系は掲載課金型で、自社の製品をPRする際に費用がかかる仕組み。(月額数万円だった記憶がありますが、正確な情報は覚えていません…)

リンカーズ

ものづくりのビジネスマッチングサイト。発注者は主にサプライヤー、研究パートナー、共同開発先を探している企業で、受注者は製造会社となり、大手企業を中心とした350社以上の利用実績がある。

リンカーズの料金体系は反響課金型で、サプライヤーやパートナー探索の1案件ごとに費用がかかる仕組み。

クラウドソーシング系のビジネスマッチングサイト2選

クラウドソーシングは法人の会社というよりは、フリーランスの方が仕事を獲得する目的で使うのが一般的です。案件は主にIT系が多く、ホームページ制作、システム開発、デザイン、ライティングなどが中心です。

クラウドソーシングは価格競争が激しく、フリーランスの提案が多いため、法人の会社が受けたいと思う案件は少ないかと思われます。(受注者というよりは下請探し目的で利用している開発会社/制作会社が多い印象)

ランサーズ

後発のクラウドワークスに先に上場されたものの、2019年12月16日にIPOをした、業界最古参のクラウドソーシングのサイト。

ランサーズの料金体系は成果報酬型で、10万円以下は20%、10万円~20万円は10%、20万円~は5%の手数料となる。

クラウドワークス

東証マザーズに赤字上場したことで賑わいを見せた、ランサーズとほぼ同じサービスを提供するクラウドソーシングのサイト。

クラウドワークスの料金体系は成果報酬型で10万円以下は20%、10万円~20万円は10%、20万円~は5%の手数料とランサーズと全く同じ手数料を設定している。

公的機関系ビジネスマッチングサイト2選

J-GoodTech(ジェグテック)

経済産業省所管の独立行政法人が運営する、日本国内の中小・大手企業と、海外企業を繋ぐビジネスマッチングサイト。

ものづくりをする企業が、共同開発、試作、委託、販売連携などをする目的で利用することができ、費用は一切かからない。

TTPP

日本貿易振興機構(ジェトロ)が運営する、国際ビジネスマッチングサイトで、全て無料で利用することができる、J-GoodTechと似たようなサイト。

掲載した情報は英語に翻訳されて世界中に公開される。同様に海外の方が掲載された情報も日本語に翻訳された上で情報公開される。

総括

ビジネスマッチングサイトは効果的に使えば、自社の売上アップを見込めるものの、無駄に費用だけがかかり、全く結果が出ない、という声も多く聞きます。

成果報酬型なのでリスクがないと思って始めたものの、何度も打合せを重ねて全く契約に繋がらない場合、広告費はかからないものの、無駄な人件費がかかってしまいます。

営業代行会社や紹介会社と違って、ビジネスマッチングサイトに掲載して案件が入ってきたとしても、契約を獲得するために営業を行う必要があるため、受け身で仕事がラクに獲得できる、と思わない方が良いでしょう。

それぞれのビジネスマッチングサイトの特徴や、料金体系上のメリット/デメリットをしっかり把握した上で、掲載するかどうか検討したいところです。

MORII RYOJI

MORII RYOJI

士業に特化したホームページ制作会社オルトベースの代表。24歳の頃に何か面白いWebサービスを開発するため、自分自身の忘備録としてスタートアップのビジネスモデルをまとめ始めたのが「WebFolio」で今年で5年目。何かあれば気軽にFacebookから連絡してください。

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