作成日:2020.12.21  /  最終更新日:2020.12.21

Google出身、30歳で2社を上場に導いた男が新たに設立した「hey」とは

ARAKAKI TAKATO

ARAKAKI TAKATO
hey社を徹底解剖

タイトルが非常にインパクトがある感じになっていると思うが、イメージそのままに実際に天才プログラマーとして呼び声高いheyの代表である佐藤裕介氏がまさにその人物である。

2008年にGoogleに入社し、広告製品の開発を担当。その後2010年にフリークアウトの創業に参画し、同時にイグニスにも取締役としても参画後、2014年6月にはフリークアウト、イグニス共にマザーズ上場へと導いている。個人としては、エンジェル投資家としても活動されており、非常にキレキレの佐藤氏が2018年にheyの代表となり、スモールビジネス事業者向けに、今よりも商売をスムーズするソフトウェアの提供をしている。

最近、非常に注目を集めているBASEともよく比較される「hey」について、今回はその具体的な事業内容や今後の成長戦略などを紐解いていこうと思う。

「hey」とは

heyはコイニーという会社とストアーズ・ドット・ジェイピーという会社、2つの会社統合により誕生した会社である。

コイニーは、現hey副社長である佐俣奈緒子氏が米PayPalの日本法人立ちあげ参画後、2011年に同社を退職し、中小事業者向けのキャッシュレス決済サービス「Coiney」を提供する会社として立ち上げものであり、ストアーズ・ドット・ジェーピーは、最短2分でネットストアを開設できるサービス「STORES.jp」を提供していた会社である。

その後、直近オンライン予約システムを提供するクービックという会社も新たに加え、ヘイを存続会社とし、ストアーズ・ドット・ジェーピー、コイニー、クービックの3社を吸収合併して現在に至る。そのため、店舗運営をされている方がネットで商売を始めようとした時に必要となるほとんどの機能を備えており、いわゆるお商売のデジタル化を支援する会社である。

heyのセグメント

参照元:ヘイ株式会社公式HP

直近の業績

上場をしておらず、まだ自社でも明確な数値での売上や店舗数を公表していないため、一旦今回はひとまずオープンになっている指標レベルでの推移などをご覧いただきたい。

食品分野の伸び率

参照元:ヘイ株式会社公式HP

まずショップの開設においては、アパレルを想像される方も多いと思うが、直近の発表では食品関連の新規開設が相次いだようで、前年同時期対比で約13倍に増加している。売上に直結する1番重要な指標である流通総額は、2018年からの2020年12月までの約2年間で4.5倍で予想を出している。

具体的なサービス内容

先ほどご説明したように、サービス内容としては以下の大きく3つである。

・STORES
・STORES決済及びSTORES請求書決済
・STORES予約

STORES

STORESはエンジニアスキルなど難しい技術などは一切必要とせず、簡単に自分で本格的なネットショップがつくれるサービスである。事前に必要なことは、メールアドレスとパスワードだけで、後はガイドに沿って進めるだけで、必要なショップ機能などもボタン一つで対応が可能である。

STORES決済 及び STORES請求書決済

既に同様の決済サービスを提供している会社も多くあるが、特徴としては幅広い決済方法があり、「カード決済」「電子マネー決済」「QRコード決済」はもちろん、オンラインでのカード決済も可能であり、これまで数社した対応していなかった「翌々日入金」も国内すべての銀行口座で対応が可能であることが挙げられる。

STORES予約

STORES予約は特に多店舗展開されている事業主の方により有効なサービスであり、例えば各店舗毎に情報のストック方法や管理方法が異なる場合でも、各店舗アカウントにスムーズにログインでき、予約や売上情報を一元管理することができる。また、口コミ記載を促す仕組みによって、検索結果の上位表示に繋がる機能もあり、単純に業務の効率化というだけではなく、売り上げにつながる取り組みも可能である。

EC市場について

EC市場について、まずセグメントとしては、最も一般的なBtoC、次にインフォマートやモノタロウのようなBtoB、メルカリやヤフオクなどのようなCtoC、そしてつい最近話題になっているDtoCという4つがある。

BtoCの市場規模は、2019年時点で19兆3,609億円(前年比7.65%増)で、EC化率は、6.76%(対前年比0.54ポイント増)であり、CtoCの市場規模は、1兆7,407億円(前年比9.5%増)であり、BtoBの市場規模は352兆9,620億円(前年比2.5%増)となっている。

ECの市場規模

参照元:電子商取引に関する市場調査(経済産業省)

また、メーカーが自社商品を直接消費者にネットを解して届けるDtoCの部分では、日本国内ではまだそれほど大きな市場規模はないが、今後は間違いなく広がっていく市場であり、ここの領域においては特にアメリカ近年成長が著しく、2020年には、約2.5兆円の市場規模になる予定である。

ご覧のように、いずれの領域のおいてもネットを介した売買というのは、一般的にイメージされるBtoCはもちろん、その他の領域においても成長をし続けており、今回のこのコロナの影響もあり、そのスピードはECに限らずIT活用という観点で5年程早まったと言われている。

この流れは今後もますます拡がっていき、生活、ビジネスのあらゆる局面でITを活用する機会が増えると思う。BtoBの領域においても、いわゆる物販系ではないサービス系の購買においてもこれまでの対面での営業からほとんどオンラインに切り替わり、アメリカでは既に購買検討時には、営業ではなくオンラインで情報収集するほうが優れているという購買担当者が約6割もおり、オンライン上で情報収集から購買まで一貫して行われる日もそう遠くはないだろう。

今後の成長戦略

表立って具体的な戦略を語っている話はほとんど無く、一部記事では直近100億弱の資金調達を行っており、その資金使途として「採用」をメインとしている、という内容がリリースされている程度である。その観点では、直近、人材採用と働く環境への投資を進めており、採用については現在の約2倍となる400人体制の組織にしていく予定で、最近ではあのスマートニュースで、P&Gご出身の西口一希氏のもとマーケティング施策を手掛けてきた山崎佑介氏がメンバーとして加わっている。

その背景としては、STORESという認知度もまだ10%程度ということもあり、そのマーケティング強化はもちろん、その先のインフラ機能となるまでのストーリーを考えたものでる。クービックのグループ化も進め、heyの傘下に入れることで、「予約」の領域までカバーできるようになり、BASEShopifyのような物販に特化したサイトではなく、サービス事業者もスムーズに商売ができるようなプラットフォームを構築している。

そうすることで、世の中様々なECサービスや決済サービスがあるなかで、純粋想起に近い形でSTORESを認知をしてもらい、その後の細かいサービスに関しては、事前審査や機能も一貫しているSTORESにそのまま任せようという流れを想定した構想である。そういった意味で、山崎氏が参画しSTORESという”ブランド”を今後どのように確立していくのかは、非常に楽しみである。

総括

今回は非常に注目度高いheyを取り上げたが、代表佐藤氏の考えとして戦略や社内の数字などを基本的に外部に出さないようにしているということもあり、なかなか具体的な情報が見えてこない部分があったが、会社として成長していることは間違いない。

いずれ上場するということは視野に入れた状態で、資金調達においてもかなりの額を調達しており、各事業ポジションの採用にも積極的である。また近しい領域のBASEShopifyとは、利用している店舗の業態やサービス機能などの部分で戦略的に違う形で進めており、佐藤氏の発言にもあるように、同じ山に違う道から登るということなのだろう。

いずれにしても、この市場が拡大することは間違いなく、競合含めたそれぞれの会社が今後どのような戦略を取り、どのような結果になるのかは非常に興味深く、今後の各社の動向に要注目ではないでしょうか。

ARAKAKI TAKATO

ARAKAKI TAKATO

小中高は野球漬けの毎日。高校卒業後は教員になることを考え浪人をし大学に進学するも、ご縁があり民間企業に就職。社会人としてはベンチャー企業にて中堅・中小企業の経営者向けコンサル営業。新規開拓営業メインで年約200名の経営者と対峙している。

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